LGBTという言葉は聞いたことがあると思いますが、この言葉はLGBTQ+と呼ばれることもあります。Q+って何?と気になるところですが、実際にヨーロッパではもっと長い略称も知られていて、LGBTQIA+というものや、もっともっと長いものもあります。このアニメはLGBTQIA+のうちの一つをメインに扱っています。
やがて君になる:LGBTQIA+って?
L:レズビアン
G:ゲイ
B:バイセクシャル
T:トランスジェンダー
Q:クエスチョニング
I:インターセックス
A:アセクシャル
+:その他
LGBTより先の部分を簡単に説明します。
Q:クエスチョニング:「自分の性別に疑問を持っている状態」です。誰しもが「自分はゲイ」「自分はレズビアン」とは初めから思っていません。「なんとなく制服のスカートを履くのが違和感ある、苦痛」というように性別に違和感があるところから始まります。その状態です。
I:インターセックス:身体的性において男性と女性の両方の性別を有しているセクシュアリティ。
A:アセクシャル:「誰のことも好きにならない」状態に疑問や苦痛を感じている状態。
となっています。「やがて君になる」は特に「A:アセクシャル」に焦点を当てた作品として、海外で評価され、受賞もしている作品です。
やがて君になる:唐突な終わり方について
アニメ版は原作の途中で唐突に終わります。その理由は「全部入れようとしたら時間が足りず、丁寧な描写ができないから」というものでした。実際、原作を丁寧に描いていて「アセクシャル」の心理描写は特筆ものです。高校生の移ろいやすく壊れやすい気持ちの揺れがとにかく丁寧に描かれています。また、物語には様々なセクシャルマイノリティーの登場人物がいます。でも、自分や自分の周りにも「そんな感じの子いた」という距離感で、決して特別な描かれ方はしていません。そもそも日本でも9%ほどの割合でセクシャルマイノリティーの方がいます。
アニメは唐突に終わる感じが拭えませんが、物語を完結させずに「足りない」くらいがちょうどいいのかもしれません。考える余地が生まれますね。
やがて君になる:丁寧な心理描写がすごい
印象的なシーンの一つとして、河の石をジャンプして渡るシーンがあります。心の距離感を物理的な距離感として描き、二人の距離を縮めるのには石を「ジャンプする勇気」が必要です。そこで胸が締め付けられます。
下記はWikiからの引用です。
2018年、当時東京大学に在学していた学生100人に対して行われたアンケートをもとに、東京大学書評誌『ひろば』の編集長が執筆した著書『東大生の本棚 「読解力」と「思考力」を鍛える本の読み方・選び方』にて本作が紹介。東京大学内の販売所で新刊が発売される度に売り切れになることがあることを挙げ、心理描写が巧みに描かれている点、感情の動きや内面描写の美しさを評価した。その小説的な表現から「文学より文学的な漫画」と評する東大生もいた。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%84%E3%81%8C%E3%81%A6%E5%90%9B%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%82%8B
ぜひ観てみて下さい。他にはない作品だと思います。
コメント