『宇宙(そら)よりも遠い場所』は、2018年のニューヨーク・タイムズ紙「The Best TV Shows of 2018」に選ばれた作品の一つです。同リストには国内外の優れたテレビ番組がまとめられており、『宇宙よりも遠い場所』はその中で異例の日本アニメとして高い評価を受けました。また、文化庁メディア芸術祭アニメーション部門審査委員会推薦作品に選ばれています。そして、その他受賞多数です。制作協力にも文部科学省、国立極地研究所、海上自衛隊、SHIRASE5002(一財)WNI気象文化創造センター他、そうそうたる名前が並んでいます。
しかし敬礼してから見る必要はありません。主人公は女子高生4人です。
「南極」というフィルターを通して、主人公たちは少しずつ変化していきます。そんな物語です。
主要な登場人物(女子高生4人)
キマリ
「ここじゃない何処かへ、どこかすごく遠くに行きたい」と思っていた。
そんな折に、しらせと出会う。そのきっかけとは「しらせが落とした100万円の札束」
キマリには「良い意味で空気読まない」自由さが眠っていて、しらせとの出会いでその想いが決定的になります。
なお、本当の名前は玉木マリ。なので「キマリ」
ゆづきによると、寝言を言うそうです。
「大変!ツバ魔神がトイレから出てこない。改札通れなかったんだと思う」謎です(笑)
なお、体力はあまり無い模様
しらせ
母親は元、南極観測隊員。そこで命を落とす。
以降、しらせは「南極に行く」という想いをずっと持っている。
「しらせ」はご存知、南極観測船の名前。彼女たちが乗るのは民間に転用されたという2代目しらせ。
ちなみに3代目しらせも先行して南極に向かっている。
しらせは母親が亡くなった南極に行くことについて強い使命感を抱いている。
しらせも船酔いしていそうなのに、体力つけてます!
ひなた
先輩が落ちて自分が選ばれた陸上部の代表選手を彼女は辞退して退部する。そして高校も中退する。
でも勉強はできて、高二の段階で高卒認定を取る。負けん気が強いけど、何かが溜まっている。
「何で私が南極に来たと思う?ここには何もないからだ!何のしがらみもない人と、何にも無いところに行きたかったんだよ」
ゆづき
表面的には華やかな女子高生タレントだけど、実はずっと友達ができたことがない、ゆづき。でも絶対に助け合わなければ生きてゆけない南極の環境で、女子高生南極観測隊の4人の絆が深まっていきます。
南極に向かう船内でダンベルをやって腕が上がらなくなったゆづきは「かゆいです!鼻の頭!」と。そこで仲間はちょっとしたイタズラを思いついたようで。
「なんかしたら軽く死なせますよ!」これはゆづきの口癖みたいなものですが、それに対する仲間のリアクション。こんなイタズラができるのは距離が近づいた証拠ですね。ちなみに「軽く死なせますよ」は、仲間にも浸透して何度か出てくるフレーズです。ちなみに後ろにあるペンは『PEN』でペンギンのロゴ付きです。
このアニメは南極というのが目を惹きますが、人間の変化、成長を描いています。
宇宙より遠い場所にいる訳ですから。必ず何かが変わってゆきます。
Happy Birthday our friend Yuzu
彼女にとって一番嬉しかったのは「our friend」の部分でしょうね。
ゆづきはキマリにLINEを送る時、はじめ他人行儀で書こうとして、でもそこで少し迷って、ゆづきが考える「これが友だちの感覚かな」で短いラインを送った。おそらくこういうラインは初めて。ゆづきは勇気を出したんだと思います。
キマリ「わかった!友達って、多分ひらがな一文字だ!」
ゆづきの勇気、変化がちゃんと伝わったんだと思います。
やっぱり南極はすごい
宇宙よりも遠い場所:ラスト
うちに帰ってきたキマリ。そこにクラスメイトからのメールが届く。彼女はキマリに触発されたのか、北極でオーロラを見ている。
旅行から帰ってきた時は、少なからず何か「喪失感」があるものだけれど、キマリはしっかりと鼓舞された様子で、そこでこの物語は終わります。
広がりがある何とも素敵な終わらせ方ですね。
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